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政府統計の総合窓口のデータや、OECDやUCIやのデータを使って、Rの練習をしています。ときどき、読書記録も載せています。

日銀短観2019年12月調査のデータ分析6 - 企業の規模(大企業/中堅企業/中小企業)でANOVA。企業規模によって景況感は違いがある。

 

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 の続きです。

今回は、企業の規模、大企業、中堅企業、中小企業の3つの企業規模で短観の値に違いがあるのかどうか、ANOVA(ANalyis Of VAriance)をしてみます。

まずは、現状(Now)のそれぞれの平均値を見てみましょう。tapply関数とmean関数を使います。

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大企業の平均は9.92, 中堅企業の平均は9.61, 中小企業の平均は-0.14と中小企業は著しく低いですね。plot関数で箱ひげ図を描きます。

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箱ひげ図を見ると、大企業も中堅企業も中小企業もけっこう上下の幅が大きいですね。平均値だけ見ると、絶対に中堅企業と中小企業では違いがあるな、と感じましたが、箱ひげ図を見た印象はそんなに違わないんじゃないか、と感じました。

実際はどうなんでしょうか?aov関数でANOVAができるそうです。やってみます。

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p-value が0.0373と0.05よりも小さいので、Sizeの違いはNowの違いに影響していますね。

R言語では、aov関数で簡単にANOVAができますが、これを手作業(といっても計算はRでやります)でやったらどうなるでしょうか?練習と思ってやってみます。

Michael J. CrawleyのStatistics An Introduction using Rを参考にしてやってみます。

 

Statistics: An Introduction Using R (English Edition)

Statistics: An Introduction Using R (English Edition)

  • 作者:Michael J. Crawley
  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2014/09/23
  • メディア: Kindle版
 

 まずは、SSYというのを計算します。これは、個々の観測値から全体の平均値を引いて、それを2乗して、合計したものです。

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SSYは21200.81となりました。この値は、aovのsummary画面のどこにあるかというと、

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Sum Sqの1654と19547の合計値です。

次に、SSEを計算します。SSEはthe error of sum of squaresです。大企業、中堅企業、中小企業それぞれで、SSYのような計算をして、合計します。

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このSSEの値、19546.791はaovの結果の

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ここですね、Residualsの行のSum Sqの値が、SSEです。

そして、Sizeの行のSum Sqの値、1654がSSA(the treatment sum of suqares)です。

SSY = SSA + SSEという関係式が成り立ちます。

全体のバラツキ = ファクタ内のバラツキ + 残りのバラツキ

という関係かな。なので、SSA = SSY - SSEです。

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そして、このSSAの自由度(Df)は、2です。大企業、中堅企業、中小企業と3つのファクターがあるから1引いて2です。SSA(Sum Sq)の1654を自由度2で割った値が、Mean Sqの827.0になります。

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SSE(Residuals)の自由度はいくつでしょうか?全体の観測値の数は84です。SSYの自由度は83で、SSAの自由度は2ですから、83-2=81になります。

SSYの自由度 = SSAの自由度 + SSEの自由度

という関係ですね。

なので、SSE(Residuals)のMean Sqは、

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241.3183です。

aovの表でSSA(Size)のMean SqとSSE(Residuals)のMean Sqを確認しましょう。

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そして、SSA(Size)のMean SqがSSA(Size)のvarianceで、SSE(Residuals)のMean SqがSSE(Residuals)のvarianceですね。この二つのvarianceの比を計算します。

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この3.427がaovの結果画面のF valueの値です。

このF_ratioが統計的に有意かどうか、これをpf関数で計算します。

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はい、この0.037263がaovの結果の一番右の列、Pr(>F)の値と一致しましたね。

これが手計算でのANOVAです。結構面倒ですね。これをaov関数で一瞬でできてしまうのがRの凄いところですね。

NowはSizeによって違いがあることがわかりました。Next(先行き)はどうでしょうか?

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Next(先行き)も中小企業は低いですね。

箱ひげ図を描きます。

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箱ひげ図はこんな感じでした。大企業のバラツキは小さいですね。

それでは、aov関数でANOVAを実行します。

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p値は0.00727です。Nowのときよりも小さなp値ですね。Next(先行き)でも企業規模によって景況感は違うことがわかりました。

今回は以上です。