平等とはどういうことかということを政治哲学の観点から書いたものです。
はじめに、不平等の何がいけないか、ということから始めています。
不平等は、①剥奪(deprivation)、②スティグマ化(stigmatization)、③不公平なゲーム(unfair game)、④支配(domination)、の4つのことがらがあるのでいけない、ということです。
この本の「おわりに」のところで、平等に関する六つのテーゼが挙げられています。
①不平等は組み合わさることで一層の悪影響をもたらす
②平等の要点は「局所的な平等化」を超えた支配の不在にある
③公正な能力主義は平等主義を意味しない
④事後の再分配ではなく、事前の再分配が重要である。
⑤私的利益が公共的利益にとって代わるのを見過ごしてはならない
⑥一元的な基準から距離をおき、多元的な価値を配慮すること
の六つです。
この本を読んで思ったことは、アリストテレス、プラトンの時代から人間はずっと平等について考えてきて、少しずつ考えが深まって(深まってないとしても広がって)きたんだと思いました。それと、平等な社会は、誰もが剥奪されず、スティグマ化されず、不公平なゲームを強いられることもなく、不当に支配されずに自尊心をもって生きていける社会だと思いました。そして、そんな社会になればいいなと思いました。